遊園地再生事業団「14歳の国」開幕、「これは喜劇、そして得体のしれない悲劇」

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早稲田小劇場どらま館と遊園地再生事業団による共同主催公演「14歳の国」が、9月14日に東京・早稲田小劇場どらま館で開幕した。

早稲田小劇場どらま館×遊園地再生事業団「14歳の国」より。(撮影:坂内太)

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早稲田小劇場どらま館×遊園地再生事業団「14歳の国」より。(撮影:坂内太)

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宮沢章夫の作・演出で1998年に初演された本作は、14歳の少年による実際の事件をモチーフとした作品。とある中学校の体育の授業中、誰もいない教室で持ち物検査をする5人の教師のやりとりを通して、舞台上には登場しない生徒たちの姿を浮き彫りにしていく。出演者には大場みなみ踊り子あり笠木泉谷川清美善積元が名を連ねた。

早稲田小劇場どらま館×遊園地再生事業団「14歳の国」より。(撮影:坂内太)

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宮沢は20年ぶりとなる本作の上演について「この作品に普遍性があるとするなら、正しいことをしているつもりの教師らが、こっそり持ち物検査をする、こそこそしたそのふるまいが喜劇だからだ。だからこれは喜劇だ。そして得体のしれない悲劇だ」とコメントを寄せた。上演時間は1時間35分を予定。公演は10月1日まで行われる。

宮沢章夫コメント

初演からちょうど二十年になる。
いまも上演したいと連絡を受けるのは幸福なことだ。多くが高校の演劇部だ。おそらく登場人物が五人と少ないこと、教室というよく知っている場所が舞台になっていること、そして、「十四歳」が自分たちにとってはとても身近だからだろう。ただ、これがいま理解されるのか不安になったのは--それは再演の稽古を進めるあいだに気がついたことだが--、一九九七年に起こった神戸のニュータウンで十四歳の少年が犯した凄惨な事件や、その翌年、社会問題になったバタフライナイフを使った殺傷事件の生々しさがこの二十年でよくわからなくなっていることだ。もちろんその記憶を消したいと考える人たちもいるにちがいない。
そのことを直接書いたわけではないが、いまナイフの重さを伝えられるだろうか。それでもなお、この作品に普遍性があるとするなら、正しいことをしているつもりの教師らが、こっそり持ち物検査をする、こそこそしたそのふるまいが喜劇だからだ。
だからこれは喜劇だ。そして得体のしれない悲劇だ。

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早稲田小劇場どらま館×遊園地再生事業団「14歳の国」

2018年9月14日(金)~10月1日(月)
東京都 早稲田小劇場どらま館

作・演出:宮沢章夫
出演:大場みなみ踊り子あり笠木泉谷川清美善積元

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John Doe @alatterpart

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